五家の荘に隠れ住んでいた平家の落人の子「千姫」が主人公。人さらいにさらわれ、京へとやってくる。都の義賊「小弥太」にかくまわれ、さまざまな苦労をしながら幸せをつかむまでの物語。
【主な曲】「まいどおおきに」「おせんカムバック」「未来への帆を上げろ」

作・演出 城 隆弘
音楽   庄野俊治

千姫と風の小弥太

2006年7月30日(日) 八代市厚生会館大ホール

幕が開くとそこは、泉村にある白鳥山の頂上付近。都忘れの花が咲いている。
 

千姫は、平家の落人としてこの山でひっそりと
隠れ住む毎日。
笛を吹くことが唯一の楽しみ。
今日も寂しさや退屈を紛らすために一人笛を吹
いている。
窮屈なお屋敷を抜け出して来たのだった。

源じいと右京に育てられた千姫。
都へ行きたいと訴えるが許してはもらえない。

 
 その様子を見ていた山賊「神無月」と「かじき
の三八」が千姫を京の都に連れ去ることを計画する。
 

 だまされているとも知らない千姫は都に行くこと
を決心する。

それから一ヶ月。黒子の口上で場面は進行。

 

京の都は咲く花の香るがごとく盛りなり~♪
男も女も商人もついでに乞食も集う町!
にぎやかに都音頭が繰り広げられます。

 

皆が集えばこの世は極楽♪、
寺に神社にお屋敷に…

 

 銭や銭、
おまえたち銭ださんかい!
誰のお陰でここで商いできると思うとるんや!

 

風の小弥太?
わしの目の黒いうちは、ゆるさんぞ!

 

山賊に京の都に連れてこられた千姫であったが
危ないところを風の小弥太に偶然助けられる。

このときはまだ誰なのかわからない。

 

 

 

都をふらふらしている内に、怪しげな乞食(おもらい)
たちに遭遇する。
彼らは自分たちの哲学でこの京の都をうまく渡って
いたのである

 

皆々様の幸せ祈るだけ~♪
招福到来、招福到来
ぽく・ぽく・ぽく・ぽく ち~ん!

 

乞食と別れた千姫は、ひょんなことから「湊屋」
という呉服問屋で仕事をすることになる。

湊屋には同じ年頃の従業員がいて、毎日楽しく
仕事をしていた。

 

掃除洗濯おさんどん、掃除洗濯おさんどん…
下働きは忙しい、朝から晩まで大にぎわい
花の都のど真ん中
呉服問屋は。呉服問屋は湊屋どすえ~♪

 

従業員頭の「おかつ」ににらまれる。
おかつ  「返事は大きく!」
千姫   「へえっ!!」

 

やっぱ都に出てきてよかったぁ~みるもの聞くもの珍しいことばかりだもんね。

 

ところが、ある日、高札が出される。
山賊の「神無月」が役人に捕まり処刑されたがその
神無月からの情報で、千姫が都に来ていることが
わかってしまう。

情報を提供したものには報奨金が出されるという
ことである。 

泉村に取り残されていた「右京」と「源じい」は、
決死の思いで都へとやってくる。ところが、高札
で千姫が指名手配されていることを知り大あわて。

高札をみて「おせん」が「千姫」ではないかと
疑った従業員頭の「おかつ」は従業員の私物入れ
の中から千姫の家宝「静の笛」を奪い取り、役人
に通報する。…しかし、役人は笛だけ奪い取る。

役人に踏み込まれ、あわやというところで、千姫
は人気のない荒れ寺へと逃げ込む。

するとそこにはあの「小弥太」が隠れ住んでいた。
千姫は話をしている内にすっかり引きつけられる。

 

千姫 もしかしたら~お父様…こんな感じかしら?
私を優しく包んでくれるの♪」

小弥太「子どもなんて気まぐれ自分のことだけ…
世話の焼けることばかり♪」  二人「この広い都の
片隅で
偶然であった二人…
それぞれの夢と希望を
心に 心に 秘めた ままで…♪」

都の大通りでは、しっとりとした白拍子の舞いが
舞われています。人々もうっとり…

右京と源じいは今日も都を探し回りますが、いっ
こうに千姫の手がかりが見つかりません。と、
その時…

風の小弥太が、「風のおせん」を引き連れて
貧しいものに銭を配っている場面に出くわします。
気づいた右京と源じいはすぐに追いかけます。

必死で追いかけますが、そこは体力の差…とうとう
逃げられてしまいます。右京「よい! 今日は出直
しじゃ。」
源じい「はい、私もこれが限界…!」

 

おせんちゃんがいなくなった湊屋は火が消えた
ように寂しくなる。おせんちゃんにもう一度会
いたいCome back Osen! …♪

 

役人は千姫を捕まえるために、とうとう人質作戦に
でます。千姫の代わりに殺すというのです。

 

 

 

さて、とうとう対決の時が来ました。
小弥太と千姫は桔梗を助け、静の笛を取り戻す
ためにやってきます。右京と源じいは気が気では
ありません。

 

ところが、急転直下。
都には戦が起こります。後鳥羽上皇様が蜂起され
たのです。
京都の治安が守れなかったせいで役人
はクビになります(!)めでたしめでたしのはずが…

千姫は小弥太と一緒に白鳥山へ行きたかったのです
が…小弥太は都に残り戦いに加わることを宣言します。

千姫は悲しみます。千姫「どうして戦に行くの
じゃ~!」

小弥太  「わしはこのときを待っていたのじゃ!」

 

千姫  「大人になるのは…大人になるのは、つらいものじゃのーっ!!」

 

故郷に向けての旅立ちです。さあ、帆を上げろっ! 船出だァ~
エイホ エイホ …♪

 

都の人々ォ~達者でねー!
わたしたちは ふるさとを幸せの国にするけんねェ! 

 

おせんちゃんもげんきでねー!からだに気ィつけやー

 

みんな元気でねえ~!

カーテンコールの最後は、湊屋さんの船をバックに記念撮影?…それぞれの未来に乾杯!!