久々のリメイク作品。登場人物が減り、ストーリーも単純化された。その分人物を詳しく描き、ドラマチックな展開になった。舞台装置は足場を使うなど大がかりなものとなった。テーマも大きく変わり、友情の大切さを描いた。
【主な曲】「洞窟行進曲」「仲直りの歌」

作・演出/城 隆弘  音楽/庄野俊治・本田真弓

水島幻想

平成22年12月12日 八代市厚生会館大ホールにて

 

 

 
 <第一幕>
幕が開くと、水島。小学生の雄一が一人でなにやら一生懸命に作業をしています。
そこに。小学校の友達、まり、ゆみ、敏子、和彦がやってきます。
どうやら、みんなは和彦に呼び出されたようです。
 

 水島小学校の六年生雄一は、友達と何やら計画しています。
どうやら、自分の家庭訪問をやめさせようとしているらしい。まり、ゆみ、敏子、和彦はいやいやながら手伝うことにしました。
 
 子どもたちは、「何だって出来るんだ」と、『レッツゴーこどもたち』を楽しく歌い踊ります。
 
 「まり」は、雄一の気をひこうとしますが、雄一はあまり乗り気ではありません。
「まり」は強硬手段に出るのですが…
 
 突然現れた、担任の先生(奈津代)にお目玉を食らってしまいます。
 
 奈津代先生は、代陽小学校の「水野君」と「山下さん」を連れていました。
水島のことを勉強しに来た二人に、雄一とまりは、ばかにされて悔しい思いをします。
 
 その夜。水島の浜は、恋人たちの逢い引きに使われていました。
今夜も三組の恋人たちが現れ『恋人たちの浜辺』を歌います。
 
 続いて現れたのは、治夫と亜紀子。
この二人は恋人かと思いきや、どうも様子が違います。
どうやら、恋人との間を友人に取り持って貰おうとしているようです。
 
 水島が逢い引きに使われることを嫌った『精霊』は、現状を嘆きます
 
 そこに、「大御神さま」が現れ、人間に汚されないように精霊たちに命じます。
困った精霊たちは、「人忌みの術」を使うことを計画します。
 
 一方子どもたちは、水野君に言われたように、地元のことをよく調べてみようと図書館に行きます。
そこで様々な本を読み、いろいろな知識を得ます。
 

 たとえば、水島を巡って、「野坂の浦」紛争が起きていることを知ります。
水島にまつわる「野坂の浦」は果たしてどこにあったのか諸説紛々としています。
地元の郷土史家はそれぞれ自説を展開して気勢を上げ『大騒ぎ野坂の浦』を歌い踊ります。
 
 さて、次の夜。思惑どおり奈津代と逢うことが出来た治夫でしたが、精霊たちの画策で『人忌みの術』をかけられます。
好きな相手が嫌いになり、嫌いな相手が好きになるという不思議な術…。
 
 そこへ現れたのが、『祠守』(ほこらがみ)。
祠守はもともと精霊の世界の番人のような役目で、みさかい無く相手を石にしてしまうという怖い存在。
人間を見たらすぐ石にしてしまうだろうということで、三人の精霊たちは、「人忌みの術」が解けるまで、奈津代と治夫を自分たちの世界に連れて行ってしまいます。
 
 ところが、一人取り残されていた亜紀子が祠守に石にされてしまいます。
 <第二幕>
 
もっと水島のことを調べたくなった雄一たちは、水島の洞窟探検に行くことにしました。みんなで『洞窟行進曲』を歌い踊ります。ところが、どうやら道に迷ってしまいます。
 
途方に暮れていたところに、なぜか代陽小学校の水野君が登場します。そして、道に迷った雄一たちに、洞窟の抜け方を教えるのでした。一同感心します。
 
みんなが道を捜しに行っている時、祠守が現れ、なんと雄一が石にされてしまいます。しかし、不思議なことに亜紀子の身体は元に戻ってしまいました。
 
それに気づいた水野は、石化光線の性質をつかみ秘策を講じます。そして、雄一を元の身体に戻すことに成功します。
 
しかし、道に迷った状態から抜け出すことが出来ず、みんなはすっかり気落ちしてしまいます。最初、「絶望」の想いを歌にしますが…水野と雄一があきらめちゃダメだと励まします。
 
 そして、子どもたちは気持ちを一つにして、『未来のドアを開け』を歌います。
 
その時、子どもたちの頭上に「鳳凰」が現れるのです。
鳳凰は、力強く羽ばたき、子どもたちについてくるように促します。
 
奈津代は麻呂の術で、すっかり心を奪われています。
千年も待ち続けたという麻呂とそれに魅入られた奈津代は『千年の恋』を歌います
この世界で恋に落ちた者は二度と元の世界に帰ることが出来ないと治夫に知らされる。
 
精霊たちと、治夫が困っているところに、鳳凰に案内された子どもたちが登場します。子どもたちは元の世界に帰れた訳ではないことを知り、ちょっとがっかりします。
 
そこに現れた麻呂と奈津代を見て、「先生」に気づき驚く子どもたち。麻呂は、面倒くさくなって、祠守をつかって、全員を石にしてしまおうとします。祠守は、麻呂が操っていたのでした。
 
麻呂の合図で現れた祠守は、一人ではなく、なんと4人もいました。精霊たちはたちまち石にされてしまいます。驚いて逃げ出す人々でした。
 
逃げる途中で、崖下に落ちた山下を一度は見放したまりであったが、途中で思い直し、助けてあげます。このことでおたがいのわだかまりが解け、二人は、すっかり仲直りすることが出来ます。「未来のドアを開け」を歌います。
 
麻呂のせいですっかり弱っていた大御神であったが、雄一のパワーを貰うことで、力が回復していきます。しかし、あと一息というところで、麻呂の式神攻撃に負けてしまいそうになる。
 
そこに駆け込んできたのは、まりと山下。
二人のパワーが加わって、大御神のパワーは最大限にふくれあがります。そして、麻呂の式神は跳ね返されてしまいます。
 
 そして、麻呂はついにミミズにされてしまう。
 
子どもたちの冒険は終わり。大御神も力を回復し、精霊たちも安堵の胸をなで下ろす。治夫と亜紀子という新しいカップルも誕生し、めでたしたしのうちに幕がおります。全員コーラス『水島よ永遠に』。
 
 感謝の気持ちを込めて鳳凰に手を振る子どもたち